2005年05月18日
道民の願い、札幌復活:上野耕太郎
北海道のプロスポーツの先駆けでもあるコンサドーレ札幌に激震が走った。9日のことだ。運営する北海道フットボールクラブ(HFC)の取締役総務部長(46)が児童買春禁止法違反の疑いで札幌・中央署に逮捕された。1月にテレホンクラブで知り合った札幌市内の当時14歳と13歳の中学2年の女子生徒をホテルに連れ込み、現金1万円ずつを渡してわいせつな行為をしたという。
ショックだった。97年、私はコンサドーレ札幌の担当だった。この総務部長は当時、サポーターの代表格で何度も取材した。03年6月にHFCに入社し、元銀行マンとして辣腕(らつわん)を振るっていた。経営が厳しいチーム再建のキーマンでもあった。
事件が発覚した9日、私は現在担当する日本ハムの試合がなく休日だった。会社に忘れ物を取りに行くと編集部が何やら騒がしい。事件を知った。担当が出張中のため急きょ、謝罪会見に向かうことになった。会見に頭を丸めて臨んだ石水会長は「入社してくれないかと頼んだのは私、最も信頼していた。裏切られたというか、悔しい」と涙ながらに陳謝した。
チームはここ数年、低迷している。昨年8月、当時20歳の選手が酒気帯び運転で交通事故を起こして現行犯逮捕され、解雇された。不祥事が続く。今回の事件後、石水会長も引責辞任し、教育関係の企業はスポンサーを降りた。
本当にどん底の時だろう。
私事だが、ちょっと思い出したことがある。数年前、仕事がうまくいかず、元妻からも愛想を尽かされた。食器を洗えば厚い皿が割れ、右手の親指が裂けた。病院で5針縫った後、通院に使った自転車が盗まれていた。踏んだり蹴ったりの1日だった。そんなとき「ここが最低。これ以上悪くなることはないよな」と思った。
97年にコンサドーレを担当したときは勝ち続け、J1に昇格した。札幌市内をパレードした。ビールかけで祝勝した。北海道が沸いた。サッカーの楽しさ、プロスポーツの醍醐味(だいごみ)を北海道にもたらしてくれた。03年にJ2に転落し、昨年は最下位に低迷した。不祥事も続く。経営難もある。外国人を獲得せず、若手の大胆な起用で苦境をしのいでいる。必死にもがいている。
ただ、もしチームが北海道に来ていなかったら…。札幌ドームもなく、もしかすると日本ハムの移転もなかったかもしれない。一部の若手経済人が誘致し、大きな運動となった。コンサドーレ札幌の移転は反対意見が多かったと聞く。プロスポーツの先駆けとして、切り開いてきた。その功績も大きい。
事件についての是非は問わなければならない。ただし、ピーク時に比べ、少なくなったかもしれないが、必死に応援する「本物のサポーター」もいる。私も北海道に住む1人として、そのV字形の復活劇を期待したい。逆境をはねのけるチームの姿に自分を重ね合わせたいのだ。
May 18, 2005 10:50 AM
