記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年05月01日

お金=強さではない:飯島智則

 スポーツの世界で「数字」は、どこか無機質な印象をもたれる。プロ野球でも選手に打率や勝ち星について聞くと「数字は気にしていません」という答えが多い。記者の世界でもデータを駆使するより、いわゆる足で稼いだネタが重宝される。しかし、数字もおもしろい。見ているだけでいろいろなことを教えてくれる。


 25日に労組プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)が今季の年俸調査資料を発表した。球団別の総年俸や平均年俸だけでなく、年齢層別の年俸や、1億円以上の選手が何人いるかなど多種にわたっている。データは80年からあるが、当初は新聞に書かれた「推定年俸」を集めていた。88年からは個々の選手からの申請に基づいてデータを集計している。ちなみに外国人選手は、特殊な契約を結ぶケースが多いので入っていない。


 例えば開幕時に1軍にいた291人の平均年俸は6770万円で、1軍にいなかった461人の平均は1832万円。どちらも初めて前年に比べて減少した。数字を少し吟味してみる。野球協約に定められたところでは1500万円未満の選手は、1軍にいると1日ごとに追加報酬を受け取れる。150日いれば満額1500万円になるよう計算されており、この金額は1軍選手の基準といっていい。とすれば、1軍外の平均1832万円は、やや高い金額となる。もちろん平均だから一概には断言できないが。


 球団別にみるとパ・リーグの1軍選手は<1>ソフトバンク<2>西武<3>日本ハム<4>ロッテ<5>オリックス<6>楽天の順で高い。昨年の順位に似ている。セ・リーグは<1>巨人<2>横浜<3>中日<4>阪神<5>ヤクルト<6>広島。3年連続最下位の横浜の9713万の高額が光る。


 1軍外が1500万円未満に抑えられているのは西武、オリックス、横浜、広島、ヤクルトの5球団。ちなみに巨人は3091万円と倍以上になる。気前がいいのか、戦力と育成のバランスが悪いのか。


 また、楽天は1軍が3882万円と12球団で最低額だが、1軍外の1972万円はパで3位とやや高め。チーム内を見ると500万円未満が不在で、1億円以上は1人だけ。5000万円以上も7人しかおらず、選手による年俸格差が少ない。


 年齢別も興味深い。全体的に巨人が高いかと思ったが甘かった。巨人が最高額となったのは16~23歳の1025万円だけ。30~35歳の部、36歳以上の部はともに横浜に次ぐ2位である。横浜は3年連続の最下位で、数字だけでは分析不可能なので無視させてもらう。それより気になるのは、巨人が24~29歳で2722万円と、6位まで下がること。ソフトバンクの5493万円が飛び抜けているとはいえ、巨人はこの年齢層が薄いと分かる。


 つまり入団時に他球団より高額出すが、その選手が成長せずに…他球団からFAなどで補強する。おっと、これは想像であって、ここまで数字が教えてくれるわけではない。


 集計している間、数字を基に取材に走りたくなったが、あえて今回は数字から分かる要素だけで書いてみた。

May 1, 2005 02:04 PM