2005年04月04日
長男抱けぬ俊輔パパ:盧載鎭
僕は2児の父親である。二女が生まれたのは一昨年の7月。その年の冬、家内と2人の子供がおじいちゃん、おばあちゃんに会うため韓国に戻った。「せっかくだから2、3カ月くらいゆっくりしてくれば。冬のボーナスは全部、お前の好きなように使っていいから」。育児に追われる家内に休暇をあげた。5年ぶりの1人暮らし。
独身を満喫できると思った。しかし、思ったほど楽しくない。食事は外食で解決できるが、掃除、洗濯はそういうわけにもいかない。結婚する前には当たり前のようにできたことが、できない。
休みの日は家事に追われ、独身を満喫する暇がない。何よりつらかったのは、子供に会えないこと。子供の写真を眺める時間が日々、増える。3カ月後、休暇を取って僕も里帰りした。家内と子供を迎えに、戻ったのである。
一刻も早くわが子に会いたい。朝一番の飛行機を予約した。帰国前夜はワクワク、ドキドキ。自然に口元が緩む。目覚まし時計を3つもセットしたが、鳴ることはなかった。一睡もできなかったからだ。今は起きているのかな。寝てるだろうな。そう考えるうちに、朝刊が配達された。
仁川空港に着いた。間もなく我が子と再会だ。大量のおもちゃを忍ばせたスーツケースを引いて空港を出た。準備万端。しかし今度は不安が襲う。長女は以前のようになついてくれるのかな。二女はオレの顔を覚えていないだろうな。迎えに来てくれた妹の車に乗る。家まで約1時間。3カ月ぶりに味わう至福の瞬間のため、あえて子供の話はしなかった。
ガッカリ。「パパ」と叫びながら懐に飛び込んでくれるはずの長女は、僕と目を合わせようとしない。「パパだよ」と話し掛けながら手を握ると、逃げてしまった。追いかけると、泣き出してしまった。今度は寝ていた二女をそっと抱き上げた。泣く。暴れる。一日中、抱っこしていたかったが、実現したのはわずか数分間だけだった。
つい先日。セリエAのレジーナに所属し、日本代表MF中村俊輔(26)も、僕に似たような体験をした。W杯最終予選のバーレーン戦後、1カ月半ぶりに我が子と会った。
昨年12月に生まれたばかりの長男を両腕で抱いた。しかし数分で、ベッドに戻した。僕のように、子供が窮屈そうにしていたからではない。7キロの体重なのに、あまりにも重く感じたからだ。
単独トップ下でプレーしたバーレーン戦。負ければ、W杯出場に黄信号がともる一戦だっただけに、誰もがプレッシャーを感じていたはず。「トップ下で10番を背負って戦う以上、負ければすべて僕の責任」。司令塔としての重圧もあった。応援してくれた国民のため、信頼してくれた監督のため、家族のため、自分のため。全神経を集中し、すべての力を注いだ。
久々に再会した我が子を抱く力も残らないほど。
April 4, 2005 02:40 PM
