2005年04月21日
慣例的な満場一致×:飯島智則
人生で最初に出席した会議は、小学校の学級会だろう。指導教師によって会の進め方は違うだろうが、私の経験では多数決による決定がほとんどだった。民主主義の基本的な方法。社会人になってからも、多数決、もしくはさまざまな意見を聞いた上で責任者が最終決断を下す。その2通りしか経験していない。
プロ野球界は、そのどちらでもない。球界の重要事項を決める実行委員会は、ほぼ例外なく「満場一致」で決まっている。一応、野球協約には多数決による決定方法が明記されている。第15条(議長と議決)に「議案の議決は出席委員数の3分の2以上の賛成を必要とする」(議案によっては4分の3以上)とある。しかし、基本的に挙手などによる採決は行われていない。
もちろん簡単に満場一致になるわけではない。議論の中で賛成、反対意見が出るので、挙手をせずとも大まかに賛成8球団、反対4球団などが分かる。そして最後には少数側が折れる形で「満場一致」となることが多い。ときには「うちが反対の立場を取ったという事実は議事録に残しておいてください」と付け加えて折れる球団もあるという。
極めて多数決に近い形の「満場一致」といえるが、あくまで採決はしない。なぜか。実行委員会で議長を務めるパ・リーグ小池唯夫会長(72)に聞いた。
小池会長「遺恨というか、しこりを残さないためなんですよ。12球団によって運営されるわけですから、全球団が納得して進めていった方がいい」。
しかし、今話し合っているドラフト改革などは、球団によって意見が180度違う。とても全会一致になるとは思えない。
小池会長「今はまだ色々な意見を戦わせる段階だから、そうなんでしょう。でも、時期が来ればまとまっていく。12球団で運営していく以上、しこりを残しても仕方がない。大人の対応をするでしょう」。
ドラフト改革では「共存共栄」か「競争」か、という理念の問題にも及んでいる。理念も妥協できるものなのか。
小池会長「『共存共栄』と『競争』はバランスですよ。どちらかでもいけない。そういう意味で、折衷案になるのではないでしょうか」。
この決定方法は、日本球界を象徴していると言ってもいい。球界は12球団で運営するものであり、すべての決定事項は12球団で決める。だから、皆が納得する形で進めていく。多数決よりも満場一致で。
昨年の再編騒動を機として、コミッショナーの権限を強くすべきという声が出ている。12球団を統括する役割として、もっとリーダーシップを発揮すべきという意見である。これは満場一致とは正反対の方法といってもいい。
「何を決めるか」と同時に「どうやって決めるか」も検証すべきだ。コミッショナーの権限を強化するならば、役割を明確に定めた上で、人選方法から検討する必要がある。現職者の権限だけ強化すれば解決するものでもない。
検討した上で、あくまで満場一致にこだわるならば、それもいい。何となく、これまで通り…は避けるべきだろう。
April 21, 2005 11:33 AM
