2005年04月15日
おとぎの世界消えた:中山知子
英国のチャールズ皇太子(56)が、35年間も関係を続けてきたカミラさん(57)と結婚式を挙げ、ついに正式の夫婦になった。
結婚式の様子を取材するため、英国ウィンザーに行った。なにはともあれ、ロイヤルウエディングではないか。
挙式会場の「ギルドホール」は、17世紀に建てられた。皇太子が故ダイアナ元妃と挙式したセントポール大聖堂と同じ設計者だと聞いた。赤と白のレンガにギリシャ彫刻風の飾りが埋め込まれた建物は歴史を感じさせるが、普通は一般市民が集う公会だ。白い階段はペンキがはがれ、歩くときしむ。職員がベンジンで壁のプレートを磨いていたが、布はかなり汚れていた。
一般市民が使うには何の支障もないのだろうが、ここで未来の国王といわれる人が結婚式…? お互い離婚経験者ということで英国国教会の一部から反対の声もあり、ウィンザー城の教会から場所を変えたのだが、よく言えば極めて質素。率直に言えば「格落ち」に見えた。
近くの書店では、皇太子の再婚記念に出版されたばかりの本が、早くも9ポンド(約1870円)から3ポンド(約620円)引き。逆に当初の日取りの「4月8日」が入った4・99ポンドのタオルが「インターネットで10倍の48ポンドで売られているわよ」と、土産店の店員は言った。なんか、夢のない話だなあ。
さて、式当日。皇太子とカミラさんが会場入りする前、他の王族やカミラさんの親族がまず公会堂に着く段取り。次々と王室の車が到着し、ウィリアム王子やヘンリー王子、王族メンバーが降り立って、手を振って…と華やかな場面を勝手に想像していたら、2台の白いマイクロバスが到着。王子たちはその1台から、互いにじゃれ合いながら降りてきた。結婚式前の厳かな雰囲気はない。もう1台にはカミラさんの家族。「親族ご一行さま」の状態で、ゾロゾロと歩いて行った。王族がまるごとバスに乗ってくるなんて…緊張感がまるでなかった。
25分かけるといわれた式も、実際は誓いの言葉を読む手続きだけで、15分で終わった。終了後、建物を出てきた皇太子とカミラさんは、腕を組んで立ち止まって報道陣や観衆に手を振ったが、すぐ車に向かって歩き出した。お気に入りのデザイナーに作らせた純白のワンピースにジャケット、帽子で決めたカミラさんの方が、少し立ち止まってから車に乗り込んだ。もう少しフラッシュを浴びていたかったのだろう。
81年に行われた皇太子とダイアナ元妃との結婚式は、テレビ中継で見た。当時中学生だった。元妃のふわっとしたウエディングドレスや、赤いじゅうたんを引きずる長いベールに、こんな夢のような世界が現実にもあるんだなあと思った。
あれから24年、かつて英王室にあった「おとぎ話」のイメージは、すっかり消えた。目の前のロイヤルウエディングは、現実の世界の中で、夢のかけらもなかった。
April 15, 2005 10:39 AM
